「真冬くんは謝らないで……」
連続で送られてきた二つの文を見て、私一人ぼっちの部屋で思わず呟いた。本当はそう叫びたいくらいだった。
『ううん、こちらこそごめんなさい。真冬くんは悪くないよ。気にしないで』
真冬くんも、私が飛び出してしまってからずっと悩んでいたのかな。想像すると、罪悪感でいっぱいになる。気持が溢れそうになる。
既読になってもしばらく返信が来ない。不安になって、
『本当にごめんね』
と追加で送った。すると今度はすぐに返ってきた。
『温華ちゃんは謝らないで。僕は大丈夫だよ』
どうして、そんなに優しいの……!
感情が形になって溢れてしまいそうになるのをぐっと堪える。
そして、ふーっ、と大きく息を吐いてもう一度画面を見た。
……「温華ちゃん」?
名前で、呼んでくれた?私がつい名前で呼んでいるから合わせてくれたのかな。
『真冬くん、あんまり自分を責めないでね。私も大丈夫だから』
『七井さんこそ……』
ああ、戻っちゃった……。今の返信は既読がついてから少し間があった。
ということは、さっきは慌てて送ったから名前で呼んじゃったのかな。心の中では、そう呼んでくれてるってこと?
『温華でいいよ』
『えっ、いいの?』
やっぱり返信には間があった。慎重に言葉を選んでくれているのかなと思うと嬉しい。
『うん。その方が嬉しい。』
『じゃあ、そうするね』
『一回呼んでみて』
するとかなり間が空いた。確かにこの流れはおかしい。なんでこんな文章を送ったのか、自分でも困惑する。
『温華ちゃん』
間はあったけれど、しっかりと呼んでくれた。これを、真冬くんの口から、真冬くんの声で聞きたい。
『ありがとう』
なんだか、くすぐったい。
真冬くんは私が今まで出会ってきた人たちとはタイプが全然違う。それでいて、私が最も話しやすいタイプかもしれなかった。
『じゃあ、真冬くん、おやすみなさい』
『おやすみなさい、温華ちゃん』
また呼んでくれた……。
学校を出るときに感じていた疲労感は、いつのまにか軽くなっていた。
今日は、良く眠れそう。温かい気持ちを抱えながら、布団に入った――。
◇
私も真冬くんも普段あまり人と話す方ではないから、たった一日の出来事をきっかけに学校で話すことができるようになったわけではなかった。
特に真冬くんは会話がかなり苦手なようで、見ていると誰とも話さずに一日を終わることもあるみたいだった。
それでも、たまにすれ違ったときは私から「おはよう」とか「またね」とかは声をかけた。そうすると真冬くんも恥ずかしそうにしながらも必ず返してくれる。それだけで心がぽかぽかする。
連続で送られてきた二つの文を見て、私一人ぼっちの部屋で思わず呟いた。本当はそう叫びたいくらいだった。
『ううん、こちらこそごめんなさい。真冬くんは悪くないよ。気にしないで』
真冬くんも、私が飛び出してしまってからずっと悩んでいたのかな。想像すると、罪悪感でいっぱいになる。気持が溢れそうになる。
既読になってもしばらく返信が来ない。不安になって、
『本当にごめんね』
と追加で送った。すると今度はすぐに返ってきた。
『温華ちゃんは謝らないで。僕は大丈夫だよ』
どうして、そんなに優しいの……!
感情が形になって溢れてしまいそうになるのをぐっと堪える。
そして、ふーっ、と大きく息を吐いてもう一度画面を見た。
……「温華ちゃん」?
名前で、呼んでくれた?私がつい名前で呼んでいるから合わせてくれたのかな。
『真冬くん、あんまり自分を責めないでね。私も大丈夫だから』
『七井さんこそ……』
ああ、戻っちゃった……。今の返信は既読がついてから少し間があった。
ということは、さっきは慌てて送ったから名前で呼んじゃったのかな。心の中では、そう呼んでくれてるってこと?
『温華でいいよ』
『えっ、いいの?』
やっぱり返信には間があった。慎重に言葉を選んでくれているのかなと思うと嬉しい。
『うん。その方が嬉しい。』
『じゃあ、そうするね』
『一回呼んでみて』
するとかなり間が空いた。確かにこの流れはおかしい。なんでこんな文章を送ったのか、自分でも困惑する。
『温華ちゃん』
間はあったけれど、しっかりと呼んでくれた。これを、真冬くんの口から、真冬くんの声で聞きたい。
『ありがとう』
なんだか、くすぐったい。
真冬くんは私が今まで出会ってきた人たちとはタイプが全然違う。それでいて、私が最も話しやすいタイプかもしれなかった。
『じゃあ、真冬くん、おやすみなさい』
『おやすみなさい、温華ちゃん』
また呼んでくれた……。
学校を出るときに感じていた疲労感は、いつのまにか軽くなっていた。
今日は、良く眠れそう。温かい気持ちを抱えながら、布団に入った――。
◇
私も真冬くんも普段あまり人と話す方ではないから、たった一日の出来事をきっかけに学校で話すことができるようになったわけではなかった。
特に真冬くんは会話がかなり苦手なようで、見ていると誰とも話さずに一日を終わることもあるみたいだった。
それでも、たまにすれ違ったときは私から「おはよう」とか「またね」とかは声をかけた。そうすると真冬くんも恥ずかしそうにしながらも必ず返してくれる。それだけで心がぽかぽかする。



