真冬くんは自嘲気味に笑った。それを見て、私の胸が締め付けられる。
「家族にも、中学のクラスメイトにも、男の子なのに女の子みたいって、避けられて……」
真冬くんはたどたどしく、選びながら言葉を紡いでいく。
「だから、自分では友達が作れないくせに、誰かに認めてほしくて、僕の心に気付いてほしくて……。そんな自分が嫌で、誰もいないところで泣いてた……」
「それが、あのときの……」
「うん。でも、あの日だけじゃ、なかったんだよ……」
誰にもわかってもらえなくて、悲しみをひとりで抱えて、ひとりきりで泣いていた。そんな真冬くんを想像するだけで、私の心をなにかが強く刺した。
ズキズキとした胸の痛み。
「それと、温華ちゃんにも、謝らないといけないことがあって」
「え…?」
「温華ちゃんがいじめをしてたっていう噂を聞いて、そんなわけないって思ってたけど、周りから目を向けられるのが嫌で、なにも言えなかった……。本当に、ごめんね……」
「そんなこと……!私だって逆の立場だったら、なにもできないと思う。だから、仕方ないよ。それに、私は……」
孤独を抱え続けていた真冬くんに寄り添える言葉は、なんだろう。
真冬くんは独りじゃない、私は真冬くんの味方でいたいって、伝えたい。
「私は、真冬くんのこと、変な人だなんて思わない。こんなに優しくて、可愛いのに……。真冬くんは、真冬くんのままでいてほしい」
うまく言葉が出てこない。想いはたくさんあるのに、伝えられない。
こんな言葉で、真冬くんの心に熱を与えられるとは思えなかった。
「ごめんね、力になれなくて」
私はうつむいて、膝の上でぎゅっと拳を握った。
でも――
「そんなことないよ!話、聞いてくれただけで、すごく心が楽になったし、聞いてくれて嬉しかったから……。ありがとう」
真冬くんの言葉に、私は弾かれたように顔を上げる。
すると、優しい笑みを浮かべた真冬くんと目が合った。
頬が少し赤く、温かくて包み込むような笑顔だった。
私が真冬くんの話を聞いていたはずなのに、その笑顔と声が、私の心を癒してくれていた。
ありがとうって、私の台詞だよ。
真冬くんの隣にいてるだけで、心が落ち着く。声を聞くと、ぽかぽかした気持ちになる。
ずっと一緒にいてほしい。
私も、真冬くんに話を聞いてほしい。そんな思いが強くなる。
それをはっきり言えたらいいのに。
だけど、伝えたとき、もし真冬くんを困らせてしまったらどうしよう。
未だ不安が心に渦巻いていて、私は自分の気持ちを口にできないままだった。
「家族にも、中学のクラスメイトにも、男の子なのに女の子みたいって、避けられて……」
真冬くんはたどたどしく、選びながら言葉を紡いでいく。
「だから、自分では友達が作れないくせに、誰かに認めてほしくて、僕の心に気付いてほしくて……。そんな自分が嫌で、誰もいないところで泣いてた……」
「それが、あのときの……」
「うん。でも、あの日だけじゃ、なかったんだよ……」
誰にもわかってもらえなくて、悲しみをひとりで抱えて、ひとりきりで泣いていた。そんな真冬くんを想像するだけで、私の心をなにかが強く刺した。
ズキズキとした胸の痛み。
「それと、温華ちゃんにも、謝らないといけないことがあって」
「え…?」
「温華ちゃんがいじめをしてたっていう噂を聞いて、そんなわけないって思ってたけど、周りから目を向けられるのが嫌で、なにも言えなかった……。本当に、ごめんね……」
「そんなこと……!私だって逆の立場だったら、なにもできないと思う。だから、仕方ないよ。それに、私は……」
孤独を抱え続けていた真冬くんに寄り添える言葉は、なんだろう。
真冬くんは独りじゃない、私は真冬くんの味方でいたいって、伝えたい。
「私は、真冬くんのこと、変な人だなんて思わない。こんなに優しくて、可愛いのに……。真冬くんは、真冬くんのままでいてほしい」
うまく言葉が出てこない。想いはたくさんあるのに、伝えられない。
こんな言葉で、真冬くんの心に熱を与えられるとは思えなかった。
「ごめんね、力になれなくて」
私はうつむいて、膝の上でぎゅっと拳を握った。
でも――
「そんなことないよ!話、聞いてくれただけで、すごく心が楽になったし、聞いてくれて嬉しかったから……。ありがとう」
真冬くんの言葉に、私は弾かれたように顔を上げる。
すると、優しい笑みを浮かべた真冬くんと目が合った。
頬が少し赤く、温かくて包み込むような笑顔だった。
私が真冬くんの話を聞いていたはずなのに、その笑顔と声が、私の心を癒してくれていた。
ありがとうって、私の台詞だよ。
真冬くんの隣にいてるだけで、心が落ち着く。声を聞くと、ぽかぽかした気持ちになる。
ずっと一緒にいてほしい。
私も、真冬くんに話を聞いてほしい。そんな思いが強くなる。
それをはっきり言えたらいいのに。
だけど、伝えたとき、もし真冬くんを困らせてしまったらどうしよう。
未だ不安が心に渦巻いていて、私は自分の気持ちを口にできないままだった。



