『――登録が完了いたしました。また、スイ様がリースハルト様の眷属(けんぞく)として登録されました。これにより、スイ様にスキル【鑑定眼】が付与されます』
「えっ!?」
「こ、今度はどうされました?」
「いや……えっと……スイが僕の眷属として登録されちゃった……」
「眷属……」
スイはきょとんとし、驚いた様子で固まっている。
「ご、ごめんね! でも僕の意思じゃなくて、声が勝手に――」
「眷属……リース様の眷属……! 私、これから眷属なんですね!」
なんかスイ、すごく嬉しそう!?
スイは頬(ほお)を紅潮させ、口元を両手で覆って、「わあ!」とか「すごいです」とか言いながら感動している。なぜだ。
「えっ、あ、うん……。声によるとそうみたいだけど、スイはそれでいいの?」
「もちろんです! リースハルト様の眷属……ふふっ♪」
この子、眷属の意味分かって喜んでるのかな……。でもまあ、とりあえず今はいっか。
「それでね、スイに【鑑定眼】っていうスキルが付与されたらしいよ」
「わ、私に、ですか!? 私のような下賤の者にそんなこと、あり得るのでしょうか……」
ちなみに僕が所持しているスキルは、【神の祝福】と【アイテム錬成】。
1つめの【神の祝福】は、僕の管轄だと判断された一定の範囲に何らかの恩恵をもたらしてくれるものらしい。ステータス画面の説明欄には、意図的に止めない限りは自動的に常時発動し続けると書かれている。
そして2つめの【アイテム錬成】は、名前の通りアイテムを錬成できるスキル。ただし「錬成」とある通り、無からなにかを生み出せるわけではなく、あくまで素材を掛け合わせることでアイテムを作ることができる、というもののようだ。
――これにスイの【鑑定眼】がプラスされたら、僕たちけっこう最強では!?
しかも、なんか謎の声がガイド役までしてくれるし!
よく分からないけど、ありがとう声の主――なんて思っていたが。
『わたくしからの説明は以上となります。以降は、所有者であるリースハルト様へ、シタデル山におけるすべての所有権を含む権限が譲渡されます。それでは、よき山暮らしを』
「えっ、ちょっ――音声さん!?」
一方的にあれこれ説明した音声は、それ以降何度呼びかけても応答しなくなってしまった。
ここから先は、自力で頑張れってことか。
「リース様、大丈夫ですか?」
「ああ、うん。でも音声ガイドに頼れるのはここまでらしい。……とりあえず、そろそろ少し歩いてみようか。陽が沈むまでに寝られる場所を見つけたいし、食べ物も確保しないといけないしね」
周囲は見渡す限り草木や岩ばかりだし、この状況を打開しなければ本当に野垂れ死んでしまうかもしれない。
せっかく自由を手に入れたのに、こんなところで死ぬなんて絶対にごめんだ。
「そうですね。暗くなると魔物も活発になると聞きますし、急ぎましょう」
僕とスイは、綺(き)麗(れい)な水を求めて山を登ってみることにした。
僕は元々、水魔法と風魔法の適性を持っている。
だから2人分の飲み水くらいなら僕の魔法で賄(まかな)えると思うけど、でも生活していくことを考えると、綺麗な水は豊富にあったほうがいい。
それに、上に行けば周囲の様子が見下ろせるかもしれない。
ここがいったいどこなのか、周囲になにがあるのか、少しでも情報がほしかった。
「リース様、足下が悪いのでお気をつけください」
「ありがとう。スイも気をつけてね」
地面は岩だらけで苔(こけ)に覆われている部分も多く、そうした場所は滑りやすい。
おまけに太い木の根が張り出し、草木が所構わず生い茂っている。
道なんてものはないに等しかった。
山道って、思った以上に歩きづらいんだな……。
「えっ!?」
「こ、今度はどうされました?」
「いや……えっと……スイが僕の眷属として登録されちゃった……」
「眷属……」
スイはきょとんとし、驚いた様子で固まっている。
「ご、ごめんね! でも僕の意思じゃなくて、声が勝手に――」
「眷属……リース様の眷属……! 私、これから眷属なんですね!」
なんかスイ、すごく嬉しそう!?
スイは頬(ほお)を紅潮させ、口元を両手で覆って、「わあ!」とか「すごいです」とか言いながら感動している。なぜだ。
「えっ、あ、うん……。声によるとそうみたいだけど、スイはそれでいいの?」
「もちろんです! リースハルト様の眷属……ふふっ♪」
この子、眷属の意味分かって喜んでるのかな……。でもまあ、とりあえず今はいっか。
「それでね、スイに【鑑定眼】っていうスキルが付与されたらしいよ」
「わ、私に、ですか!? 私のような下賤の者にそんなこと、あり得るのでしょうか……」
ちなみに僕が所持しているスキルは、【神の祝福】と【アイテム錬成】。
1つめの【神の祝福】は、僕の管轄だと判断された一定の範囲に何らかの恩恵をもたらしてくれるものらしい。ステータス画面の説明欄には、意図的に止めない限りは自動的に常時発動し続けると書かれている。
そして2つめの【アイテム錬成】は、名前の通りアイテムを錬成できるスキル。ただし「錬成」とある通り、無からなにかを生み出せるわけではなく、あくまで素材を掛け合わせることでアイテムを作ることができる、というもののようだ。
――これにスイの【鑑定眼】がプラスされたら、僕たちけっこう最強では!?
しかも、なんか謎の声がガイド役までしてくれるし!
よく分からないけど、ありがとう声の主――なんて思っていたが。
『わたくしからの説明は以上となります。以降は、所有者であるリースハルト様へ、シタデル山におけるすべての所有権を含む権限が譲渡されます。それでは、よき山暮らしを』
「えっ、ちょっ――音声さん!?」
一方的にあれこれ説明した音声は、それ以降何度呼びかけても応答しなくなってしまった。
ここから先は、自力で頑張れってことか。
「リース様、大丈夫ですか?」
「ああ、うん。でも音声ガイドに頼れるのはここまでらしい。……とりあえず、そろそろ少し歩いてみようか。陽が沈むまでに寝られる場所を見つけたいし、食べ物も確保しないといけないしね」
周囲は見渡す限り草木や岩ばかりだし、この状況を打開しなければ本当に野垂れ死んでしまうかもしれない。
せっかく自由を手に入れたのに、こんなところで死ぬなんて絶対にごめんだ。
「そうですね。暗くなると魔物も活発になると聞きますし、急ぎましょう」
僕とスイは、綺(き)麗(れい)な水を求めて山を登ってみることにした。
僕は元々、水魔法と風魔法の適性を持っている。
だから2人分の飲み水くらいなら僕の魔法で賄(まかな)えると思うけど、でも生活していくことを考えると、綺麗な水は豊富にあったほうがいい。
それに、上に行けば周囲の様子が見下ろせるかもしれない。
ここがいったいどこなのか、周囲になにがあるのか、少しでも情報がほしかった。
「リース様、足下が悪いのでお気をつけください」
「ありがとう。スイも気をつけてね」
地面は岩だらけで苔(こけ)に覆われている部分も多く、そうした場所は滑りやすい。
おまけに太い木の根が張り出し、草木が所構わず生い茂っている。
道なんてものはないに等しかった。
山道って、思った以上に歩きづらいんだな……。