日記というものは三日坊主になるとよく言われる。
その所以をなんとなく実感しながらこの文章を書いているのだが、おそらくあれだ。書くことがなくなるのだ。そして書くことを考えることが面倒くさくなってやめてしまう。
私の場合はまだいい。なんといっても、日記を書く期間とその目的がはっきりしているのだから。
改めてこの日記についてだが、私が応募しようと思っているモキュメンタリーホラー小説コンテストの初稿を書き上げた時点で終わらせるつもりだ。その時までは、書いたこともないモキュメンタリーホラー小説を私がどんな過程で形にしていくかを綴っていく。これについてはほとんど記録用だ。
題材については前述したとおり、行方不明になった私の親友に関する案件や、それにまつわる噂話を調査していく中で見つけていきたい。現実にあったことを調査・記録し、主観的な考えを書いていくことはまさにドキュメンタリーであり、ここに上手く虚構を織り交ぜることができればモキュメンタリーとしての物語が完成する。そのように踏んでいるわけだ。
また形式だが、いくつかの手法を案として考えてあるので、以下にまとめておく。
案1:取材メモ、雑誌形式
案2:記録日誌、日記形式
案3:報告書、レポート形式
案4:SNS投稿形式
案1は、よくある手法だと思う。ドキュメンタリーという言葉を聞いて真っ先に思いついたのがこの形式だ。一番書きやすいので、この形式で書く可能性が高い。
案2は、今私が書いているような形になるだろうか。事件や都市伝説に関することを思い起こす形で記述していき、それを読者が見ているというイメージだ。
案3は、案1に近いが、記者やライターといったものに囚われないため、幅広く応用が利くように思われる。ただし、小説としてどこまで上手く書けるのかはわからない。私のような初心者には難しそうな印象だ。
案4は、ちょっと面白そうだなと思ったのでメモとして残しておく。いわゆる現実にあった出来事(モキュメンタリーの場合は虚構の出来事)を、あたかもSNSに投稿して不特定多数に見てもらっているという体裁で綴っていくのだ。今回は短編と長編の二つの部門があるようなので、短編の場合はこうしたあまり見ないような形式で書いてみるのも面白そうだ。
他にも手法はありそうだし、組み合わせてもいいし、またここにあるのはあくまでも私個人の主観(日記なので書くまでもないと思うが)なので、結局どれがいいのかはわからないが、思いついたことは書きまとめておかないと忘れてしまう性分ということもあり、こうして見返す時用に残しておく。
あとはそう、題材との相性もありそうだ。私は今回、行方不明の案件に関することを書いていくつもりなので、実在した事件を追求し、調査するというイメージになりそうだ。その意味では、案4は少々難しいか。うーん残念。
とりあえず今週のうちにもう少し全体のイメージを固めつつ、実際に書かれているモキュメンタリーホラー小説を読んでインプットをしていかないといけないなと考えている。頑張れ、明日からの私。(今日はやらないのか、というツッコミはなしだ)
普通の日記ならここで止めるところだが、この日記は全世界に向けて公開しているものなので、読んでくださっている皆さまに向けた、とても重要なことも綴っておかなければ。
それは……――私の自己紹介です。(今さらすぎる)
いやね、昨日の日記で私が早々にまとめておきたかった行方不明の案件について書き終わり、公開もして見直していたら気づいてしまったわけです。これを読んでくださっている皆さまからすれば、いったいこいつは誰なんだ、ということを。
ということで改めまして、私の名前は矢田川いつきと言います。
もちろん、本名ではありません。物書きとして活動するためにつけた、いわゆるペンネームです。
普段の私は北陸地方に居住しているごくごく普通の社会人です。ちなみに年齢は秘密です。
物書きとしては現時点では特に書籍化経験などもないアマチュアで、とある自営業を生業としています。周囲には私がこのような活動をしていることは明かしておらず、いつかデビューして兼業作家として羽ばたいていくことを夢見ています。
好きな食べ物はわらび餅。好きな場所は波打ち際。最近の悩みは創作仲間に女性作家だと間違われていることです。(誰も聞いていない)
とまあ、このような未熟な物書きである私が、次なる土俵として選んだのが此度のモキュメンタリーホラー小説なわけで、サボり癖のある自分を追い込むためと、この場を活用して気掛かりだった案件の情報収集を目的としてこのような日記を書いているわけです。
以上で、自己紹介は終了です。ふう。
……さてさて。
モキュメンタリーホラー小説の進捗記録も自己紹介も終わったところで、ここから先は再び私の親友の話に戻していこうと思う。
昨日は親友が行方不明となった日のことについて書き記したが、今日は自己紹介の話題も出したということで、私と親友の関係性について少しまとめておきたい。
私と親友は小学校から大学まで、およそ十年に渡って仲良くしていた。
小学校三年生の時に同じクラスになり、二回目か三回目の席替えで隣の席になったことをきっかけに仲良くなった。また彼の実家は、私の実家の隣町にあり、自転車を十五分ほど漕げばつくような近さだったため、学校が終わったあとはほとんど毎日のように一緒に遊んでいた。
よくしていた遊びとしては、テレビゲームやカードゲームといった男の子らしい遊びはもちろんのこと、室内だけでなく鬼ごっこやサッカーなど室外でも活発に遊んでいた。親友には友達が多く、特に小学生の時は大人数でできるケイドロやかくれんぼなどをすることが多かった。彼は小柄で足が速かったこともあり、鬼から逃げるのはかなり得意だった。
中学生や高校生の時は、よく休日にレジャー施設に行って遊んでいた。親友はボウリングが得意でアベレージは200が当たり前。一方の私は100を超えればいいほうだった。
しかも彼は、かなり勉強が得意だった。定期試験や全国模試などで勝てたことは一度としてない。勉強方法は単語帳ではなく便覧を使うような変わり者だったが、常に学内でも五位以内をキープしていた。その頃から放浪癖やサボり癖があったのに成績だけは落とさなかったので、実に羨ましいことこの上なかった。
ただ、そうした羨望や悔しさはあったものの、私と彼は喧嘩を一度もしたことがなかった。
彼の変なところは別にして、私は彼の人間性を心の底から尊敬していた。
いつも朗らかに笑い、ふざけて面白い話をしており、私だけでなく周囲にいた友達全員を笑わせていた。
自ら進んで困っている人を助ける積極性や優しさを持ち合わせているだけでなく、大勢の前で堂々と発言ができる度胸や、先陣を切って高さ数十メートルを誇る恐怖の反り立つ壁のクライミングに挑戦する気概も持ち合わせていた。(あれはすごかった)
そうした彼と、私は生涯親友でいることができると思っていた。
彼もまた、私のことを親友だと言ってくれたことがなにより嬉しかった。
地元の大学に入学してからも交流は当たり前のように続き、講義の履修登録はもちろん、一部のサークルに至るまで同じものを選んでいた。私も親友も男だったので、一時期ホモ疑惑が立ったほどだった。
そんなこともあって顔を合わさない日はないといっていいほどだったのだが、あの日を境にぱったりと彼は姿を見せなくなったわけだ。
彼の行方不明には、二通りの見方があると考えている。
すなわち、彼自身の意志でいなくなった場合と、何らかの事件や事故に巻き込まれた場合だ。
前者の場合なら、彼は今も無事で、平穏か不穏かはともかくこの世界のどこかで暮らしていることになる。
それならばメッセージに反応をしてくれてもいいのではと思うのだが、スマホそのものを無くしている可能性も否定できない。
そこで以前の私は、ひとつの方法を考えた。
彼も好きだった小説を通して、彼の目に触れてもらおうとする方法だ。
実は、私のペンネームは、親友の名前が由来でもある。
このペンネームで活動していれば、もしかしたら彼から連絡があるかもしれないと思ったわけだ。
ただお察しの通り、未だに彼からの連絡も反応もない。私がまだまだ無名の物書きという理由が大きい気もするので、ぜひとも今回のモキュメンタリーホラー小説コンテストでは良い結果を残したい。もし彼の行方不明案件を使った題材で書籍化することができれば、彼から何かしらのアクションがあることも期待できるからだ。
ただし後者の場合……何かの事件・事故に巻き込まれている場合は、話が変わってくる。
このような活動をしていても親友の目に触れることはなく、最悪の場合、既にこの世にいない可能性だってある。
しかしもしそうだとするならば、それは果たして事件なのだろうか。事故なのだろうか。
人為的なものなのだろうか。非人為的なものなのだろうか。
そしてここで関わってくるのが、前述したとある噂話の類だ。
この噂話にはいくつかの種類があり、中には妄想の域を出ないようなオカルトめいたものもある。
次からは、この噂話について綴っていきたいと思う。
引き続き、もし何か情報があれば感想やメッセージなどの方法で連絡をいただけると幸いです。
そして、遏「逕ー蟾昴>縺、縺。
もし君がこの日記を見てくれているのであれば、どんな方法でもいい。
どうか、無事であることだけでも教えてほしい。
頼む。
その所以をなんとなく実感しながらこの文章を書いているのだが、おそらくあれだ。書くことがなくなるのだ。そして書くことを考えることが面倒くさくなってやめてしまう。
私の場合はまだいい。なんといっても、日記を書く期間とその目的がはっきりしているのだから。
改めてこの日記についてだが、私が応募しようと思っているモキュメンタリーホラー小説コンテストの初稿を書き上げた時点で終わらせるつもりだ。その時までは、書いたこともないモキュメンタリーホラー小説を私がどんな過程で形にしていくかを綴っていく。これについてはほとんど記録用だ。
題材については前述したとおり、行方不明になった私の親友に関する案件や、それにまつわる噂話を調査していく中で見つけていきたい。現実にあったことを調査・記録し、主観的な考えを書いていくことはまさにドキュメンタリーであり、ここに上手く虚構を織り交ぜることができればモキュメンタリーとしての物語が完成する。そのように踏んでいるわけだ。
また形式だが、いくつかの手法を案として考えてあるので、以下にまとめておく。
案1:取材メモ、雑誌形式
案2:記録日誌、日記形式
案3:報告書、レポート形式
案4:SNS投稿形式
案1は、よくある手法だと思う。ドキュメンタリーという言葉を聞いて真っ先に思いついたのがこの形式だ。一番書きやすいので、この形式で書く可能性が高い。
案2は、今私が書いているような形になるだろうか。事件や都市伝説に関することを思い起こす形で記述していき、それを読者が見ているというイメージだ。
案3は、案1に近いが、記者やライターといったものに囚われないため、幅広く応用が利くように思われる。ただし、小説としてどこまで上手く書けるのかはわからない。私のような初心者には難しそうな印象だ。
案4は、ちょっと面白そうだなと思ったのでメモとして残しておく。いわゆる現実にあった出来事(モキュメンタリーの場合は虚構の出来事)を、あたかもSNSに投稿して不特定多数に見てもらっているという体裁で綴っていくのだ。今回は短編と長編の二つの部門があるようなので、短編の場合はこうしたあまり見ないような形式で書いてみるのも面白そうだ。
他にも手法はありそうだし、組み合わせてもいいし、またここにあるのはあくまでも私個人の主観(日記なので書くまでもないと思うが)なので、結局どれがいいのかはわからないが、思いついたことは書きまとめておかないと忘れてしまう性分ということもあり、こうして見返す時用に残しておく。
あとはそう、題材との相性もありそうだ。私は今回、行方不明の案件に関することを書いていくつもりなので、実在した事件を追求し、調査するというイメージになりそうだ。その意味では、案4は少々難しいか。うーん残念。
とりあえず今週のうちにもう少し全体のイメージを固めつつ、実際に書かれているモキュメンタリーホラー小説を読んでインプットをしていかないといけないなと考えている。頑張れ、明日からの私。(今日はやらないのか、というツッコミはなしだ)
普通の日記ならここで止めるところだが、この日記は全世界に向けて公開しているものなので、読んでくださっている皆さまに向けた、とても重要なことも綴っておかなければ。
それは……――私の自己紹介です。(今さらすぎる)
いやね、昨日の日記で私が早々にまとめておきたかった行方不明の案件について書き終わり、公開もして見直していたら気づいてしまったわけです。これを読んでくださっている皆さまからすれば、いったいこいつは誰なんだ、ということを。
ということで改めまして、私の名前は矢田川いつきと言います。
もちろん、本名ではありません。物書きとして活動するためにつけた、いわゆるペンネームです。
普段の私は北陸地方に居住しているごくごく普通の社会人です。ちなみに年齢は秘密です。
物書きとしては現時点では特に書籍化経験などもないアマチュアで、とある自営業を生業としています。周囲には私がこのような活動をしていることは明かしておらず、いつかデビューして兼業作家として羽ばたいていくことを夢見ています。
好きな食べ物はわらび餅。好きな場所は波打ち際。最近の悩みは創作仲間に女性作家だと間違われていることです。(誰も聞いていない)
とまあ、このような未熟な物書きである私が、次なる土俵として選んだのが此度のモキュメンタリーホラー小説なわけで、サボり癖のある自分を追い込むためと、この場を活用して気掛かりだった案件の情報収集を目的としてこのような日記を書いているわけです。
以上で、自己紹介は終了です。ふう。
……さてさて。
モキュメンタリーホラー小説の進捗記録も自己紹介も終わったところで、ここから先は再び私の親友の話に戻していこうと思う。
昨日は親友が行方不明となった日のことについて書き記したが、今日は自己紹介の話題も出したということで、私と親友の関係性について少しまとめておきたい。
私と親友は小学校から大学まで、およそ十年に渡って仲良くしていた。
小学校三年生の時に同じクラスになり、二回目か三回目の席替えで隣の席になったことをきっかけに仲良くなった。また彼の実家は、私の実家の隣町にあり、自転車を十五分ほど漕げばつくような近さだったため、学校が終わったあとはほとんど毎日のように一緒に遊んでいた。
よくしていた遊びとしては、テレビゲームやカードゲームといった男の子らしい遊びはもちろんのこと、室内だけでなく鬼ごっこやサッカーなど室外でも活発に遊んでいた。親友には友達が多く、特に小学生の時は大人数でできるケイドロやかくれんぼなどをすることが多かった。彼は小柄で足が速かったこともあり、鬼から逃げるのはかなり得意だった。
中学生や高校生の時は、よく休日にレジャー施設に行って遊んでいた。親友はボウリングが得意でアベレージは200が当たり前。一方の私は100を超えればいいほうだった。
しかも彼は、かなり勉強が得意だった。定期試験や全国模試などで勝てたことは一度としてない。勉強方法は単語帳ではなく便覧を使うような変わり者だったが、常に学内でも五位以内をキープしていた。その頃から放浪癖やサボり癖があったのに成績だけは落とさなかったので、実に羨ましいことこの上なかった。
ただ、そうした羨望や悔しさはあったものの、私と彼は喧嘩を一度もしたことがなかった。
彼の変なところは別にして、私は彼の人間性を心の底から尊敬していた。
いつも朗らかに笑い、ふざけて面白い話をしており、私だけでなく周囲にいた友達全員を笑わせていた。
自ら進んで困っている人を助ける積極性や優しさを持ち合わせているだけでなく、大勢の前で堂々と発言ができる度胸や、先陣を切って高さ数十メートルを誇る恐怖の反り立つ壁のクライミングに挑戦する気概も持ち合わせていた。(あれはすごかった)
そうした彼と、私は生涯親友でいることができると思っていた。
彼もまた、私のことを親友だと言ってくれたことがなにより嬉しかった。
地元の大学に入学してからも交流は当たり前のように続き、講義の履修登録はもちろん、一部のサークルに至るまで同じものを選んでいた。私も親友も男だったので、一時期ホモ疑惑が立ったほどだった。
そんなこともあって顔を合わさない日はないといっていいほどだったのだが、あの日を境にぱったりと彼は姿を見せなくなったわけだ。
彼の行方不明には、二通りの見方があると考えている。
すなわち、彼自身の意志でいなくなった場合と、何らかの事件や事故に巻き込まれた場合だ。
前者の場合なら、彼は今も無事で、平穏か不穏かはともかくこの世界のどこかで暮らしていることになる。
それならばメッセージに反応をしてくれてもいいのではと思うのだが、スマホそのものを無くしている可能性も否定できない。
そこで以前の私は、ひとつの方法を考えた。
彼も好きだった小説を通して、彼の目に触れてもらおうとする方法だ。
実は、私のペンネームは、親友の名前が由来でもある。
このペンネームで活動していれば、もしかしたら彼から連絡があるかもしれないと思ったわけだ。
ただお察しの通り、未だに彼からの連絡も反応もない。私がまだまだ無名の物書きという理由が大きい気もするので、ぜひとも今回のモキュメンタリーホラー小説コンテストでは良い結果を残したい。もし彼の行方不明案件を使った題材で書籍化することができれば、彼から何かしらのアクションがあることも期待できるからだ。
ただし後者の場合……何かの事件・事故に巻き込まれている場合は、話が変わってくる。
このような活動をしていても親友の目に触れることはなく、最悪の場合、既にこの世にいない可能性だってある。
しかしもしそうだとするならば、それは果たして事件なのだろうか。事故なのだろうか。
人為的なものなのだろうか。非人為的なものなのだろうか。
そしてここで関わってくるのが、前述したとある噂話の類だ。
この噂話にはいくつかの種類があり、中には妄想の域を出ないようなオカルトめいたものもある。
次からは、この噂話について綴っていきたいと思う。
引き続き、もし何か情報があれば感想やメッセージなどの方法で連絡をいただけると幸いです。
そして、遏「逕ー蟾昴>縺、縺。
もし君がこの日記を見てくれているのであれば、どんな方法でもいい。
どうか、無事であることだけでも教えてほしい。
頼む。