人が死ぬと流れ星が落ちる。
 好きな本にそう書いてあった。
 ときおり死というものに希望を感じるときがある。死にたいとは思っていないが、苦しみから解放されたいと念じたとき、頭をよぎる。
 日常には小さな悲しみ散らばっていて、それらが連なると心の中に孤独を作り、醜い星座が産み落とされる。そのたびに世界の景色は澱んでいき、歪んだ思考に蝕まれていく。
――好きな人と結ばれますように
 いつものようにベランダから夜空を眺めていると、流れ星が刹那を駆けた。
 私は咄嗟に両手を合わせて祈る。
 欲張るせいか、それとも聞いてないのか、私の願いはずっと空の果てに打ち上げられたままだ。
 今日も夜空の星に縋りつきながら、地上の星は太陽を忌み嫌う。