「僕、生きる。」

 起きるといつもの景色が広がっている。毎日変わることのない、見慣れた、いや、見飽きた景色だ。洗面所で顔を洗ってから朝食を食べるのもいつもと一緒、何も変わらない。毎日7時半ぴったりに家を出る。今日も同じ。いつものように授業を受けて、いつも同じルートで帰る。帰ってもいつものようにベッドに横になりながらスマホをいじる。部活にはもちろん入らない、いつもと変わってしまうから。
「お〜い、ご飯できたわよ〜。」
母の声だ。正直ご飯は一人で食べたいが家にいる人は一緒に食べるルールなので仕方ない。
「は〜い、今行く」
そう適当に返事してから階段を駆け下りた。
「ねぇ、最近の学校はどう?」
そんなこと聞いてどうすんだよと思ったが当たり障りないように僕は
「別に普通」と答える。
まあ無難な答えであろう。だが母は更に追求してきた。
「具体的に答えてよ、ほらどんな子とよく話すとか、どんな授業を受けてるとか。」
「それ、母さんに言ってなんか分かるの?」
僕は少し苛ついて強めに返してしまった。
「そうよね、ごめんなさい。あなたが楽しんでるならそれでいいの。何かあったらすぐに言ってね。力になるわ。」
「ごめん僕も強く言い過ぎた。困ったことがあったらすぐに話すよ。」
そんな感じで話は終わったが僕はまだ少し苛ついている。電話でなんか愚痴ろうにも電話するような友達なんかいないし、まず学校で人と話すことがない。「明日の休日に備えて今日は早く寝ることにしよう。」そういって僕はベッドに横になって深い眠りにつくのだった。翌朝・・・起きてすぐあたりを見回す。昔のクセが出てしまったが時計をすぐに確認する。13路を過ぎたあたりだ。昨日は早く寝たのにこんなに遅く起きるとは、、、寝過ごしたのは仕方ないので急いで昨日入らなかった風呂に入り着替えをして買い物に行く。今日は好きなゲームのグッズ販売日だったので早く行きたかったのだが、仕方ない残ってることにかけて一応行ってみることにし、気持ち速歩きで店舗へと向かった。
「やぁ、久しぶり」
「うわっ!」僕は思わず情けない声を出しながら振り返るとそこには中学から絡まなくなった幼馴染が仁王立ちしていた。
「久しぶり、、、だね。こんな再会の仕方だとは思わなかったよ。」
「うふふ、そーだね。今から用事ある?久しぶりにあったんだし少し話そうよ。」
断る理由を探し頭が猛スピードで回転しだす。
「あはは、変わってないね考えてるときの顔わかりやすすぎだよ、用事もないみたいだしカフェでも行こうか。」
僕は縦に首を動かし、彼女についていくのだった。