その時だった。



「雫月!」



腕を掴んでいた手が離れ、代わりに男の人が殴り飛ばされていた。



「及川…くん?」



余裕のないどこか焦った様子の及川くんが、着ていたパーカーを上から被せてくれた。



「危ないことするな。相手は男なんだぞ」


「…ごめん」


「なんだ、てめぇ…うぐっ」



及川くんの後ろから拳を振り上げてきたもう一人の男の人を、宇佐美くんが飛び蹴りで吹っ飛ばした。



「店員さん、迷惑客たちあそこです!」