言っちゃえば、どこにでもいるような女子だ。


そんな私に一目惚れって設定は少し無理がある気がする。



「あの、及川くん。ちょっと…」



みんなが理想の告白について盛り上がっているうちに、及川くんを引っ張って廊下に出る。



「付き合ってるフリするなら設定ちゃんと考えないとだよね。さすがに及川くんが私に一目惚れ…は無理があると思うし、そういう目で見られるのも嫌でしょ?」


「…そういう目って?」


「及川くんが見る目ない、みたいな。私が及川くんに見合うくらいの女子だったらよかったんだけど、無理なものは仕方ないからさ…。あ、でも、ちゃんとこれからの一ヶ月間はメイクとか気遣うし、一緒に並んでても恥ずかしくないように気をつけるから!」


「…はあ?俺は最初からそんなくだらないことは気にしてないし、嫌だったら花村にこんな役頼んだりもしない。それに花村はなんもしなくても可愛いよ」


「え…?」



及川くんはハッとしたように自分の口元をおさえると、気まずそうに視線を逸らしながら「とにかく」と続けた。