「だからだよ。下心で近づいてくる女は信用できないけど、昨日初めて話した花村になら頼めるかなって」



及川くんが困っているなら助けてあげたいと思う。


だけど…。



「一ヶ月だけでいい。ちょうど一ヶ月後だから…クリスマスの日まで。冬休みも始まるし、そのくらいまで付き合ってれば周りの関心もなくなってくるだろ」


「…わかった。一ヶ月だけなら、いいよ…」


「…本当か?」


「うん。困ってるクラスメイトを放っておけないよ」



にこっと浮かべた作り笑顔は、なかなかにうまくいったんじゃないだろうか。



及川くんは昔、私を助けてくれた。


だから次は私の番。どんなことでも及川くんの力になってあげたい。



…たとえ、この恋心を押し殺さなければいけないとしても。