始まりは、夕方の誰もいない駅のホームからだった…。





「おーい、花村雫月(はなむらしずく)。昨日のおまえだけが忘れたプリント、今日の昼までに持ってくるように言ったんだけどそれも忘れたのかー?」


「…え?」



お昼ご飯であるメロンパンにかじりつこうと口を大きく開けたまま、教室にやってきて大声で私の名前を呼んできた数学教師をぽかーんと見返す。



「え?じゃなくて。もう提出締め切ったからなー。放課後、追加の課題プリントやって提出するように」


「え、ええー!?」



べしっと私の顔面にプリントを押し付けた先生は、そのまま教室を出ていった。



「…またやっちゃった感じ?」


「日記に書く前に忘れてたみたい…。はー最近ないから油断してたよ。その時に書かないとダメかぁ」