下書き星空の下で、君の願い事を。

「私のこと、莉乃って呼んでくれる?あ、そういえば、自己紹介してなかったっけ。前田莉乃です、歳は19歳。まだ未成年だから、手出しちゃだめだよ」

「え、未成年?僕もしかしてだけど、捕まるんじゃ…」

「大丈夫、あと半年で誕生日だから」

半年って、余命半年なのに、それ20歳になれないかもしれないってことか?

昇り始めた太陽に照らされた彼女の肌は、真っ白で唇も青く、病的な姿を見ると余命半年ということが目で見ることでも再認識できる。

「ごめん、君になんて言えばいいのか正直分からない」

「別に気にしなくていいよ。私、運があれば半年なんて言われても期間なんて関係なく、誕生日迎えられると思うんだ」

「出会って数時間しか経ってないけど、すごいプラス思考なことだけは分かったよ」

「それぐらいしか取り柄ないからさ。いいんだってば、そんなこと。自己紹介してよ、君なんて名前なの」

平山栄佑(ひらやまえいすけ)、21歳」

「なんーだ、そんなに年齢変わらないんじゃん!仕事の話してたからもう少し上なのかと思ってた」

「専門学校を卒業してからの就職だから。
まだ仕事も始めてから三か月ぐらいしか経ってないし、まあ、慣れてなくて怒られてばっかだけど」

「何の専門に行ってたの?」

「風景画描くの好きで、それを勉強しに行ってた。風景画描くこと自体父親に反対されてて、全く関係のない職業に就くことになったけど」

「じゃあ、好きなことを妥協して就職したから、仕事に嫌気がさして、おそらく終電でこんなとこまで死ぬために来ちゃったんだ?」

「否定するところないな」

何も言えなかった、それが事実だったから。

「馬鹿だね。自分の人生をそんなことで投げ捨てるなんて」

「ばっ、馬鹿…って、そんな言わなくても」

傷がついた自分の心臓に、そっと手を当てて押さえた。

「いいや、馬鹿だね。私はね、やりたいことをやらずに諦めることだけはしたくないと思ってる。押し付けたいわけじゃないけど、やってだめだった方が自分に納得できるでしょ」