「まだ、死にたい?」
彼女は心配そうに僕に聞いた。
なんで来たんだっけ。海まで電車に乗って。
彼女のすごいところなんだろうな。
僕を巻き込んで、気持ちを素直に伝えるところが、いいところ。
「いや、そんな気持ち忘れてた、君のことで頭がいっぱいになってた」
「そんなまっすぐ言われたら照れくさいよ、よかった。出会えた価値があった。余命半年の私にも、できることがあったって思うと凄く嬉しい」
「まだ半年もあるじゃん、したいこと一緒にしようよ、今度は僕が手伝うよ」
「ほんとに?いいの?でも、半年しかないんだよ、最後も悲しませちゃうかもしれないよ」
「助けて貰ったお礼、今僕が君と一緒にいたいんだ」
この気持ちに嘘は無い。
心惹かれた彼女のために何かがしたい。
「じゃあ、一つお願いしていいかな?」
彼女は願い事を口にする。
「名前も知らない君だけど、私と半年間付き合ってほしい、恋愛の意味として」
僕は死にたい気持ちを無くしてくれた彼女に、恩返しがしたい。
一緒にいたい。
「僕にしかできないこと、手伝わせてもらいます。喜んで」
夜は明け、日の出を見ながら僕たちは半年と限られた契約を交わした。



