そのまま、玄関に向かうと鍵を開けた。
彼女は「……遅いよ」と僕を見上げて言った。
玄関のドアの横にちょこんと足を抱えて座っていた。
「ごめん、今部屋散らかってて」
「そんなのいつもじゃん」
そういって莉乃は立ち上がり、地面に触れていたおしりをたたいてはらった。
「お邪魔しまーす」
そう言って玄関で靴を脱ぐ。
中に進んでいくと、「何この酸っぱい匂い」と口にした。
莉乃は、リビングにまき散らされた汚物を見つける。
「吐いちゃったの?」
「……うん、ごめん今片付けるから」
そう言ってキッチンの戸棚からビニール手袋を取り出す。
「ほんともう、……貸して」
「でもこんなこと頼めないよ」
「はいはい、私やるから、病人は寝てて」
ベットで横になるまで、莉乃は譲らなかった。
莉乃はビニール手袋を手にはめると、汚物を片付け始めた。
「なんで吐いちゃったの、気持ち悪かった?」
「……」
「答えたくない?……なんか変なもの食べた?」
「……」
なんて答えたらいいかわからなかった。
会社のことを言うべきか。
単純に気持ち悪くて吐いたと言うべきか。



