僕は気になって仕方がなかった。
それでも、喋るなと言わんばかりの重たい空気とは反対に、ひらひらと裾が踊っている白色のワンピースは、とても綺麗だった。
彼女の顔は、暗闇と過剰摂取のせいか視界が少しぼやけてあまり見えなかった。
そんな彼女は口を開いた。
「私ね、余命半年なの。」
僕にとっては、とても重たい言葉を。
「そうなんですね」
どんな表情をしているんだろう。
僕は何も言えなかった。
死にたいのに僕とは正反対の言葉、彼女は生きたいと思っている。
「私と交換してよ、こんな時間にふらふらと海に来て死ぬために来たんじゃないの?」
「僕の方もバレてたか、……交換できるぐらいならして欲しいです。でも、出来ないので、僕にはあなたの痛みもわかってあげられませんし、あなたには僕の心の痛みはわかってもらえるわけが無いと思ってます」
ちょっと言いすぎたかな。
「それが正論かぁ、君厳しいこと言うね、逆に面白いよ」
「面白く思われるためにこう生きてませんが」
「君はさ、なんで死にたいの?」
そう言いながら、彼女は砂浜に絵を描き始めた。
「普通に生きられないから、こんな世の中で、なんの楽しみもなく、働いて、働いて、休みなんて体が休まらなくて、人間関係に悩んで辛い思いをするから」
初対面の相手にぶちまけすぎ?
「君、彼女いないでしょ」
「っは?…そりゃいませんけど、なんの関係があるんですか」
「彼女がいたら、また世界変わると思うな。あ、そうだ、私と付き合ってみない?私に人生預けてみてよ」
半年の命だから、どうなってもいいと思ってるんだろうか。
見ず知らずの僕と付き合おうだなんて。
「なんであんたなんかと」
「えー、こんな美少女が付き合おうって言ってるんだよ。余命半年だけど、悪い思いにはさせない!少なくとも、その自殺願望無くして欲しい」
彼女は、ハートを砂浜に描いていた。
「難しい話ですね」



