「今日はありがとう、莉乃ちゃん平山さん」
「ううん、こちらこそ!美味しいパンケーキも食べれたし!」
「莉乃は食べ過ぎだけどな」
「いいのいいの、今食べなくていつ食べるの!」
「また、誘ってください」
二見が見えなくなるまでずっと後ろ姿を見ていた。
こうして、二見と解散してから2人きりになると
「黙っててくれてありがとう、病気のこと」
そう、莉乃は言った。
2人で電車のホームのベンチに座って喋り始めた。
「なんで隠してるんだ?」
「那奈ね、ほら、あんな感じでしょ?病気のこと話したら絶対心配しすぎちゃうの。今の生活を送れないと思うの。
休学して戻って形ならきっと安心するよ、そりゃ心配は最低限するだろうけどね。那奈とは最後まで笑顔で話したいの」
悲しそうな莉乃の表情に、心臓が痛む。
「莉乃……」
僕は彼女をそっと抱きしめた。
「えっ、何、急に」
「いいから、ちょっとの間こうさせて」
.
.
.
「気が済んだ?」
「うん、ありがとう」
莉乃のことを考えるだけで、心臓が痛む。
きっと、僕が想像する何十倍も、何百倍も、無理をしてるんだ。
いつも明るい莉乃は、周りを心配させない為に。
ずっと支えてあげたい。
僕がそばで、見守ってあげたい。
七月十一日 金曜日 晴れ
今日は、莉乃の友達に会った。
大学まで行った。
休学してるそうだ。
二見那奈は、莉乃とは反対のタイプに見えた。
人見知りで、でも気配りができて、優しい子だった。
莉乃のことをとても心配していて、戻ってくることを信じていた。
病気のことを知らないらしい。
いつまで隠せるのだろうか。いつまで隠すんだろうか。
最後まで笑顔でいたいと言ったが、知らずに過ごした日常は、やり残すことがあるんじゃないか?
二見なら、どうするんだろうか。



