「こんにちは、そちらの方は?妹さんかしら」
「いえ、私栄佑くんの彼女です、お気になさらず」
「だからついてこなくていいって言ったのに」
「なんで?大事なことじゃん」
僕たちが話をしていると、ごほんと咳払いをした先生がこちらを見ていた。
「その後調子はどうですか」
「彼女のおかげで希死念慮がなくなったんです。仕事もやめて今はフリーのイラストレーターをやってます」
「あまり、依存しすぎないこと。失礼ですが彼女がいなくなった時のことを考えて、寄りかからないことも大切です」
「そんなの、……僕が一番わかってます。何も莉乃のこと知らないくせに……。僕が守らなくて、僕が忘れたら莉乃は!本当に死んだときに独りぼっちになってしまう、僕はッ…僕はッ……」
彼女の死を考えただけで泣いてしまった。
本当につらいのは、苦しいのは、莉乃の方なのに。
僕は診察室から飛び出すと、病院の外に走った。
出入口前の階段で泣いてると、莉乃はゆっくりと近づいて隣に座った。
「こんなとこにいた。……ありがとね。嬉しかった。そんなに思ってくれてたんだ」
「ごめん、僕なんかが泣いて、泣きたいのは莉乃の方だよな」
「そりゃあ、ほんとは毎日泣いてた。でもね、栄佑くんが明日も会ってくれるんだって思ったら、不思議と元気が出てくるんだ」
「僕は何もできてない」
「一緒にいてくれるだけでいいんだよ」
僕は涙が止まらなくて、声を出して泣いた。
莉乃はハンカチを貸してくれただけでなく、抱きしめて背中をさすってくれた。
情けない気持ちでいっぱいだ。



