下書き星空の下で、君の願い事を。

どうする気なんだろうか。

僕がマイクを用意してなんて……、ニートになったばかりだというのに。
貯金なんてあるわけもなく、仮にどうにか用意できたとして、病院で歌うのはさすがに出来るわけがない。


「明日、昼の12時に栄佑くんの家行ってもいい?」

「え!?お昼に抜け出してくるの?どう考えても見つかるだろ」

「あー、違う違う。退院日明日なの。あれ言わなかったっけ?私ただの検査入院だよ」

―――検査入院?

自由に動けるのか。
それならこっちも都合がいいか。

「私ね、月に一回入院するの。一週間ぐらいだけど、その一週間の中ですらいつも抜け出してるのはホントの話だけど」

「そ、そうなんだ。初めて聞いたな。ずっと入院してるのかと思ってた。じゃあ、抜け出してくるわけじゃないんだね。いやでも、未成年を家に入れるのはちょっと……誘拐だって騒ぎになっても嫌だし」

「はぁ?別に付き合ってるんだからよくない?愛さえあれば問題なぁーーーーーし!!!付き合いたてのほやほやカップル、愛がないわけないよね?私たちは恋に落ちて付き合っている。あれ、違った?」

「恋に落ちて付き合っている……」

「そ、私たちは愛し合っている!リピートアフターミー!ほらほら」

「私たちは恋に落ちて付き合っている。私たちは愛し合っている」
僕はなんて言葉を言わされてるんだ。

「いい加減分かった?」
彼女は、また僕の顔を下から覗き込むように見つめて言うと、ふふふっと笑みをこぼした。



「でも、初めて外で会うのに急に家は……」

「あーはいはい。わかった。こう考えよう!ただパソコンを使いに行くだけ。どう?それならお金も使わない、わたしも外じゃ疲れて倒れちゃうかもよ?」

「そんな人が外で歩いていいのか」

「頭が固いな。私は栄佑くんの家に何があっても明日行きます。」