下書き星空の下で、君の願い事を。

「よろしい。はい、仕事行ってらっしゃい!帰ってきたら連絡してね?」
1度は言われてみたかった言葉。
帰ってきたら連絡して。
彼女にそんな言葉言われたら、早く帰りたいに決まってる。
まだ会社じゃなくて、家の中だけど。

「行ってきます」

電車に乗って僕は会社に向かった。

「話聞いてる?メモとることだけが仕事じゃないよ。きちんと相手の目を見る。この仕事お願いね」

「これって、いつまでですか」

「13時まで。絶対ね。クライアントに提出するから」


薬の過剰摂取のせいにしたかったが、元からのポンコツ具合はかなり影響していると思う。
もっと上手く立ち回れたらと思うが、どうしてもやりたくない職種の仕事は、勝手がわからない。

それでも、莉乃のことを考えたら自然と前向きに頑張れた。
だから、いつもよりは仕事出来ている気がした。

何とかパソコンに向かって仕事をするも、目がかすんで見えない。

オーバードーズのせいか。

飲みすぎたかな。

12時過ぎるとお昼休憩に行く人が出てきた。

お弁当を持参する人、ご飯を外に食べに行く人、タバコ休憩する人、買ってきたパンを食べる人、ご飯を食べずに仕事をする人。

最後のは僕だ。

13時までの仕事が終わっていない。

何で今日中の仕事を今日回してくるんだよ。

仕事がテキパキできるタイプではないのに当日に回してくる上司にも腹が立ってしまう。

やばい、もうすぐお昼が終わる。

外に出たはずの人が戻ってくる。

「平山くん朝お願いしてた件時間すぎてんだけど、どうなってんの?」

やっぱり僕は、仕事が出来なかった。
向いてないなんてもんじゃない。
なんにも使い物にならなかった。

この会社にいるメリットは何だろう。

お金のため?

これがしたい仕事か?

違う。僕がしたいのは、イラストを描くことだ。

したくもない職場で怒られるだけでメンタルも削られて、いつ死んでもおかしくない。

何度オーバードーズしたことか。

僕は、決めた。
今日の仕事を持って、仕事を辞めると。

「お話があります。まずこれ……」

ずっと用意して引き出しに入れていた退職届を上司に提出した。

「退職願!?ちょっと、平山くん……辞められるとこっちも困るんだけど」

「僕この仕事向いてないんです。仕事に行く前も死にたくなるんです。このままじゃ、いつ死んでもいいぐらいで生きてる感覚がないんです」

「でも辞められると困るんだよ」

「使えない部下が居なくなって、より効率のいい仕事ができるんじゃないですか?お世話になりました」

僕はその足で、莉乃のいる病院に向かった。

時刻は22時近く。