下書き星空の下で、君の願い事を。

「それっきりって?」

不安だった。

彼女の幸せを三日月に祈ったものの、彼女のこれからを見届けられないのだろうかと。

「少しでも君に、幸せを感じてほしいと思う、それを僕は見届けたいんだ」

「じゃあ私の名前、呼んで?私彼氏できたことないの。
だから、異性の人に下の名前で呼ばれたのなんて小学生の時以来だから。今、呼ばれてみたい」

「莉乃って?それとも莉乃ちゃん?」

「やだ、呼び捨てがいいな」

「莉乃、じゃあ改めて、これからよろしく。彼氏彼女でいいんだよな」

僕の勘違いじゃないよな。

「そう、私の彼氏になるの。もう死にたいなんて思わせないから、覚悟して?」

「わ、わかった。送るよ」

「ありがと。じゃあ、まず、私たちの第一個目の壁があるので、それを乗り越えてもらいます」

そう言われて疑問しかなかったが、病院につくと謎は解けた。

「前田さん!?どこ行ってたの!夜中ずっとみんな探してたのよ!?親御さんにも連絡してあるんだから」

「そっか、で、その連絡受けたお母さんたちは?」

「それがまだ…」

看護師らしき人は、困惑した顔で彼女を見つめていた。

「やっぱりね。来てないと思った。行こ、えっと、栄佑くん」

呼び慣れていない僕の名前を呼んだ彼女は、すたすたと前に進んでエレベーターへのボタンを押した。