「それは、そうだけど。いろいろあるんだよ、親をまず納得させなきゃ始められないんだよ」
「そんな程度ならやらなくてよかったんじゃないの?」
グサグサと刺すような言葉に、また心臓がチクリと傷んだ。
それと同時に怒りの感情が芽生え、複雑な気持ちになった。
「はあ…」
「なんでため息つくの?」
「呆れただけ、自分に。その通りだなって」
「今からでも遅くないんじゃないの?」
遅くないか。
いやでも、今から親を説得して仕事辞めて好きな風景画描くって、そんなハードルの高いこと僕にできるのか?
仕事してる状態じゃ、描く時間なんてないし。
辞めたら生活なんてできないし。
アルバイトじゃ生活厳しいよな。
「……い、もしもーし、おーい、…聞こえてますかー!もしもーし」
「わっ、びっくりした。…ごめん考え事してた」
彼女は、僕の顔を覗き込んで不思議そうにこちらを見ていた。
「なんか難しいこと考えてない?」
「いや、まあ…。仕事にするって大変だなぁって」
「私、まだ大学生だから仕事なんてしたことないけど、少なくとも自分がしたいことなら、壁にぶつかったときでもしたいことだから乗り越えられる気がするんだよね。まぁ、余命半年だから多分就職なんて出来ないだろうけどね」
また伝えていい言葉が見つからない。
そんな中出てきた言葉は、こうだった。
「余命って、伸びたりしないの?ごめん、こんなこと聞いて」
「伸びたらいいなぁ…!」
そう言いながら、彼女は背伸びをしてから、軽そうな体でふわりと立ち上がった。
「ごめん、やっぱりよくないこと聞いた」
「ん-いいの、散々両親が医者に言ってるの思い出したけど。そろそろ病室戻ろっかなぁ。あ、そうだ!送ってよ病室まで」
「そりゃ心配だから送るけど、それっきりじゃないよな…?」



