「あっ」

水桜は、優しく笑う。

「ねえ、今日さ、外出許可が出たから、一緒に桜見いいこ」

水桜は、犬みたいに元気な声で俺にたずねてきた。

「ああ」

俺は、久しぶりに水桜とデートに出かけた。

約束をした、あの桜を見に行った。

「きれい・・・」

「だな」

確かに、桜もきれいだが、水桜もきれいだと思う。

「じゃあ、そろそろ帰るか」

「うん」

彼女の笑顔は、桜に負けないほどきれいだった。

翌日、いつものように病院に行くと、病室にはぐったりとしている水桜の姿があった。

「体調は?」

「・・・」

水桜は、ごまかすみたいに微笑む。