「あの、好きだ。俺と付き合ってくれないですか?」

「ふぇっ!」

彼女は、すごくびっくりしていた。

「あの・・・、非常に言いにくいのですが・・・」

柚乃はものすごく気まずそうに目を泳がせる。

「私、実は、いや、俺は、女装しているんだ」

(はあ⁉)

「いや、俺さ、毎日命を狙われえていて、それで女装しているんだ」

何も言えなかった。

恋愛とか、関係なく恋愛対象ですらない。

また、同じ感じで振られてしまった。

「俺のことを男だと思ってなくて、告白しただろ?

まあ、話す気はなかったんだけどな。なんか、ごめん」

そう言って、柚乃は去っていった。

「はあ~」

なんでいつもこうなんだ。

毎回、好きになった人には、好きな人(女子)がいたり、

好きな人はわけあって女装してたり、俺って恋愛運なすぎだろ。

ポツポツ

ザーザー

急に雨が降り出した。

俺は、頭の中で泣き叫びながら、ふと思った。

(前にもこんなことがあったな。振られると雨が降られるのか?神様が同情されているのか?)

もう一度、空を見上げる。

そこには、雲が一切なく、でも雨が降っていた。

この空は今の、いや、この、どうにもならない、俺の感情が表されているようだった。