「ルッ、ルート様ッ」

リーサの顔が、一瞬で真っ赤に染まる。

「あのッ、ありがとうございました」

リーサに視線を移す。

「別に、礼を言われることはしてないぞ」

家を出ると決めたのも、家を出たのもリーサが自分でした。

「それでも、ありがとうございます」

彼女は、笑うと頭を下げる。

「笑っている方が、可愛いぞ」

俺は、ニヤッと笑って言う。

リーサは、ゆっくり頭をあげると、にっこりと笑う。

俺の瞳には、優しく笑う、リーサが映る。

その笑みは、ぎこちないものではなく、楽しそうで綺麗な笑みだった。