「・・・」

俺は、リーサを見つめる。

彼女は、気まずそうに視線を空に向ける。

「・・・、私は、親にひどいことをされているかもしれません」

彼女は、視線を空に向けたまま話し始めた。

「食事は、三日に一回で、成績が悪いとぶたれます」

彼女は、淡々と話す。

リーサの表情は、穏やか。

なのに、話している内容が、穏やかな物じゃない。

「リーサ」

俺は、リーサの名前を呼ぶ。

「えっ」

彼女は、目を見開く。

俺は、今まで彼女のことを『リーサ』と呼んだことがない。

だからだろう。

「俺は、リーサにちゃんと笑ってほしい」

俺は、かすかにリーサに微笑む。

「リーサは、どうしたい?」