俺は、グイッとリーサの顔を目の前に詰め寄る。

「・・・おかあさ・・・、んが・・・、たたい・・・」

リーサは、困ったように苦笑いを浮かべるとボソッとつぶやいた。

「ん?」

「いえ、なんでもありません」

リーサは、ニコっと笑う。

「では、失礼します」

リーサは、頭を軽く下げてトコトコと歩いて行った。

「おい。いるだろ、ベルク」

「なんでしょうか、殿下」

木の上からスタッと俺の友人でもあるベルクが降りてくる。

「カイマ公爵家について調べてくれ」

「りょうかい~」

ベルクとは、昔ながらの仲だ。

「はあ」

怪しい。

リーサは、何かと隠している気がする。

「にしても、ルートが、女子について構うなんて珍しいね」