さっきまで海を見ていた瞳がかすかに揺れる。

「それで、自殺しようって思えてこの海に来た」

この海で・・・。

自殺する人って考えることが同じなのかな。

「でもね、俺が海に足を入れて進もうとしたら、女の子が手首を掴んで『死んじゃダメ~!』って叫んできたんだよ」

洸くんが、私の顔をみてクスクス笑う。

「それで、波辺に座って話したり、砂浜に絵をかいたり、色んなことをした」

・・・、そうだ。

私、小学校の時に、海に一人で行って男の子といっぱい話したり、絵をかいたりした。

なんで、忘れてたんだろ。

「だから、次は俺のばん」

洸くんは、優しく笑い返すと、真剣な表情に戻る。

「死んじゃだめだ」

洸くんは、きっぱり言い切る。

「ねえ、俺のために生きてよ」