「ありがと」

水川・・・、洸くんは、驚いたように目を見開く。

「昔、会ったことがあるの?」

「・・・うん」

洸くんは、海を見る。

「小学五年のときに、この海で自殺しようとしたんだ。

俺」

「ッ・・・」

明るくて、笑顔が多い、あの洸くんが?

こんな洸くんが、自殺するまで何かに追い詰められたのかな?

「俺ね、勉強がうまくいかなくて、親に『なんで、できないんだ』って言われて、

それからいっぱい勉強した。それで、テストで百点しかとらなくなった」

じゃあ、なんで自殺しようとしたの?

「でも、百点を取ったテストを見せても、全然ほめてもらえなかった」

えっ。

「それどころか、もっと勉強しろって言われるようになった」