なんで、名前で呼んでるの。

自己紹介、した気がしない。

「名前・・・」

「今、何しようとしたの!」

私のつぶやきも、水川くんの声でかき消された。

「ッ・・・」

私は、思わずうつむく。

『死のうとした』

なんて、言えるはずがない。

「こっち、向けって!」

車から助けられたときみたいに、腕をグイッと引っ張て、後ろに体が傾く。

トン。

頭が、水川くんの肩に当たる。

「何で・・・」

耳元から聞こえる水川くんの声、少し震えてる。

ゆっくり、視線を下に下ろすと水川くんの手が見える。

その手は、力強く握りしめていて、手が白くなってる。

しかも、少し震えてるような・・・?

「茉乃」