私は、そんなことを考えていたからだろうか。


記憶がはっきりしてきたのは、海の近くの駅だった。

「海のにおい・・・」

塩のにおい。

少し、鼻にツンとくる。

私は、迷わず浜辺に向かう。

ザーァー、ザーァー

波が、岸に上がり、また波がくる。

学校を出たのが三時ぐらいで、ここに来るまで一時間かかる。そう思うと、今は四時ぐらいだと思う。

靴を脱いで、靴下を脱いで、足に波が当たる、ぎりぎりのところまで進む。

このまま、海に入ってやろうとする。

「・・・ッ」

誰かが、後ろで私の手首を掴んでる。

「誰・・・?」

なんとなく、分かる。

手首を掴んでいる人が誰なのか。

「茉乃ッ!」

なんで・・・。