私・藤川茉乃(ふじかわ まの)。私は、ずっとクラスでは、ボッチ状態だ。

「今日、転校生、来るらしいよ」

このクラスの目立つ女の子・萩野璃々奈(はぎの りりな)が友達と楽しそうな声をあげてしゃべっている。

「ええ、男子?」

「うん男子で、イケメンらしいよ」

それを聞いた時、璃々奈の顔が少しニヤッと笑ったように見えた。

背筋がゾッとなる。

璃々奈、転校生を狙う気なんだ。

「みんな、席につけ」

「このクラスに転校生が来た」

そう言って、教室のドアを開けた。

教室に入ってきたのは、少し茶色の髪の毛に、黒い瞳で、顔が整っている男の子だった。

「水川洸(みずかわ こう)です。よろしくお願いします」

水川くんが、にこっりと微笑む。

クラスの女子たちの心臓がドキッ、となった気がする。

「じゃあ、水川は萩野の席の後ろに行ってくれ」

(えっ)

璃々奈の席の後ろ・・・。

私の横の席・・・。

「よろしく」

水川くんが、ニコっと笑う。

「はあ」

私は、すぐに水川君から目線を逸らし、前を向いた。

「ねえ、水川君のこと、洸って呼んでいい?」

璃々奈が、後ろを向いて、水川君に声をかける。

「いいよ」

洸は、にっこりと笑う。

私は、チラッと水川くんを見ると、水川くんの目は、氷みたいに冷たかった。