静かに立ち去るのが賢明か。

その答えに辿り着くと、細く高くそびえ立つ木々の間から、何かが蠢(うごめ)いているのが見えた。



草むらに体を隠して様子を見ていると、蠢いているのは人間のようで、蹲りながら唸り声をあげている。



あの人も狼人間なのかと観察していると、遠吠えとともに手足から鋭い爪が、口から犬歯が。メキメキという音が鳴り、口からは唾を吐いているのがはっきり分かった。



そして、もう一つ分かったこと。


あの狼人間は、旦那様だった。確信はないけど、背の高さや髪型の特徴が一致していた。