いつも明るく笑っているけど、それはまわりに心配をかけないように、仮面を被っているだけ。
それでみんなが幸せなら、それで良いと仮面を被り続けてきた。
旦那様の前では、その仮面は必要ないのかもしれない。
「誰にでも、人に知られたくない過去はある。無理に人に合わせる必要もない。私は柚葉のありのままを受け止めるだけだ」
「はい…。ありがとうございます」
深く温かく心に残った旦那様のお気遣い。私は、一生忘れることはないでしょう。
人に知られたくない過去はある。
お母様にもお父様にも、私が苦しんでいた学生時代のことを話すつもりはない。
知られたくない過去であり、あの出来事は恥として心に閉じ込めて鍵をしておきたい。