「それは勇敢だな。同じ経験をしているものにしか分からない辛さが、手を差し伸べるきっかけになる。それが本当の強さというものだ」
さらっと言いのけた旦那様の言葉に、驚きと感動が同時に押し寄せてきた。
〝勇敢だね〟
大抵の人はここで言葉が終わる。
困っている人を助けて偉い。それしか言われず、私としては〝弱いものに手を差し伸べて、良い人気取り〟としか聞こえない。
そうじゃないから、腹立たしい。
でも旦那様は違った。
私の過去の話はしていないのに、傷ついた人こそ強いと、まるで旦那様も同じ道を通ってきたかのような口ぶり。