流れ行く時代は明治。
明治五年に学制が公布され、月城柚葉はその年に生まれた。
月城家は、田畑で育てた米や野菜を、上流階級に納めていたため、立派な家と女中を与えてもらえるなど、裕福な暮らしができている。
もちろん学校も、中学校まで当たり前のように通えた。
大学校にも通えたが、柚葉には夢がなく、家で両親の手伝いをすると決めて、大学校は行かずに中学校を卒業した。
「柚葉。働いてくれるのは嬉しいけど、嫁がなきゃ。若いうちに行かないと、もらってもらえないよ」
そう言うお母様に、
「私は嫁がない。旦那様になる方に、月城家に入ってもらいます」
そう断言した。