夢の苺学園

 翌日、学校に登校すると、昇降口に見慣れない先生が立っていた。それも当然。私たち、鈴木雪見と水野空音は昨日、この学校に入学したばっかりだかりで、担任の先生と園長先生しかまともに顔を覚えてないからだ。
 って、そうじゃなくて。いや、そうなんだけど!
 見慣れないっていうか、なんか、人じゃないシルエット……してない?ん?え?どういうこと?なんか頭に猫耳生えてない?
 え、あれって、もしかして……。
 
「ねこっ!?!?」
 
 そう。目の前にいた先生は、ねこの姿をしていたのだ。

「おはよう!私は、ほのぼの先生だよ!ほのぼのクラス担当なんだ。これからよろしくね!」

 ねこの姿をしている先生——ほのぼの先生はそう言うと、にこーっと笑顔を向けた。
 驚きを隠せないまま、「おはようございます」って挨拶を返したけど、え、本当にどういうこと!?
 そんな驚いた自分を見た先生は面白そうに笑うと、自分のことを説明してくれた。
 
「私はね、とある日、ねこになりたーい!って願いながら日向でお昼寝をしていたら、目が覚めると、自分が本当に猫になっていたんだ!」
「……?」
「顔とか体は人間のままなんだけどね、猫の耳としっぽがついてて、あっ、これ、本当に猫の耳なんだよ!ちゃんと感覚もあってさ!」
  
 えぇーと、ほのぼの先生は、体とかは人間だけど、猫耳がついてて、しっぽもある……ってこと?

「簡単にいうと、あの、ケンタウロス!みたいな?」

 と、またまた笑顔で面白く笑っているほのぼの先生を横に、私と空音は顔を見合わせた。

「あっ!もうそろそろ教室に行かないといけない時間かな?時間には余裕持って行動するんだよ!じゃあね!今日も楽しもう~!」

 そう言うと、ほのぼの先生は元気良く手を振ってこの場を去っていった。
 見つめあった空音と同じタイミングでゆっくり3回瞼を閉じた。

「えぇぇぇぇ~!?!?!?!?!?」

 しばらく固まったまま動かなかった私たちは、大声で叫んだ。




 無事、あの後教室へ行き、しーちゃん達にほのぼの先生のことを話したら、ぽかーんって理解が追い付いてない顔をされた。
 
「え、ちょっとまって、どゆこと?」
「だから、猫耳としっぽが生えてる、先生がいるの!」

 さっきから一生懸命説明しているけど、なかなか信じてもらえなくて。自分も最初は、ってか今も信じられていないんだけど!

「つまり、猫耳のカチューシャと、もふもふの猫のしっぽのおもちゃをつけている先生がいたってこと?」
「おもちゃじゃなくて、本物なんだよぉ」

 これはどれだけ弁明しても、分かってもらえないかもしれない。ほんとに本物なのにぃぃぃ!

「よし!じゃあほのぼの先生のクラスに行こう!そしたら、本物だ!って分かるから!」
「いや、そんな先生いる訳ないじゃn……」

 その時、廊下から、頭の上に猫耳を生やした人影が見えた。
 じっと見つめている私につられて、しーちゃんたちもそこを見たその瞬間、驚いた顔で固まっていた。
 本物の猫耳だってさっきまで伝えてたのに!

「ほら!ほんとに猫の姿をしてたじゃん!」
「ほんとにいるんだ、そんな人......」

 夏凛が「すげぇ〜」と感心していると、空音が優しく説明をしてくれた。

「なんか、ねこになりたーいってひなたぼっこしながら願ってお昼寝して、目が覚めたら猫の姿になっていたんだって」
「えぇ?超能力じゃん。すごぉ」
「なにそれ!!じゃあ!うちも鳥になりたい!って願いながら日向で昼寝したら、鳥になってたりするのかな!?」
「そしたら俺がとっ捕まえて、焼き鳥にしてやるよ」
「ちょ、やめてよぉ!w」

 楽しそうに話すしーちゃんを横に、悪い顔で夏凛がニヤけながら話していた。
 夏凛は焼き鳥が好きって自己紹介で言っていたから、ほんとにしーちゃんが鳥になっちゃったら焼き鳥にしちゃうかもしれない。天気の良い日はしーちゃんがお昼寝しないか、ちゃんと見張っていないと!

「なんでしーちゃんは鳥になりたいの?」

 ふと気になった疑問を投げかけると、目を輝かせて話してくれた。

「えぇーだってぇ、空飛んでみたいじゃん?あと、綺麗な空たちを雲の上から見て、どんな風に見えるのか気になるし!あとはぁ!自由になりたい!」
「だから、鳥になったら俺が食べるから自由にはなれませーん。はい、残念でしたーw」
「煽り性能高いんだよなぁ。一発殴っていい?」

 すごい爽やかな顔をしてすごい怖いことを言ってるしーちゃん。うん。すごい怖い。
 夏凛が「ごめんって〜」と笑っているとりりー先生が来たので、みんな席についた。