え? 水?
『ばぶ?』
今のは、水? って言ったんだよ。思わず声に出たんだ。そりゃ声も出るだろう。周りが水だらけなんだから。何て言うのかな? 水のドームの中にいるみたいなんだ。まさか今いる場所は水の中? いやいやまさかね。
『おい、バカ神』
『だからバカじゃないって…。そうだよ、ここは海の中だよ。僕言ったでしょう。海に生きる者達だって。彼らはね海に中で暮らしているんだよ。今君が居る場所は、海の中の彼らの国。そしてこれから暮らす、君の国だ』
『海の国』
まさかのまさかだった。まさか海の中にこんな場所があるなんて。動かせるだけ目を動かして周りを確認する。水ドームに気を取られていた俺。俺達がいた場所は高い場所だったのか、街の様子がよく見えた。
バカ神は海の中だと言ったけど、そこには小説で読むような、ヨーロッパ風の建物が並んでいて、色は白や薄い青色が多く、人々もそうだったが、建物もとても綺麗だった。
そして海の中なのに、泳いでいる人々は全くおらず、普通に歩いている人達ばかりで。まぁ、このドームの中にいるんだから当たり前なんだが、海の中なら、ここは異世界だ。空中を泳ぐ魚がいたって良いと思うんだけど。
カバンを持って歩いている人達、俺の知らない生き物に乗って移動している人達、井戸端会議のように集まって、笑いながら話しをしている人達。道や広場のような所では、子供達が集まって遊んでいた。
不思議なことはそれだけではない。海の中なのに木も花も草も生えていて、緑で溢れていたんだ。花壇も綺麗に整えられていて、本当に素晴らしい景色だった。……まぁ、なんとも言えない花や草も生えていたけど。
これについては後でちょっと調べるか。まぁ、赤ん坊の俺には無理だろうから、誰かが教えてくれるかもしれないし。
と、今はそれは置いておいて。これが海の中? 本当に? バカ神が俺にイタズラで、そう言っているだけだとか?
『失礼だな、そんなことしないよ。あっ、そろそろ本当に話せなくなりそう。いい、ちゃんと教会に来てね。あと、ここの生活は君の今までの生活と基本は同じだから。食べ物も気にしなくて良いし、トイレとかも魔法が関係してるけど、あんまり変わらないよ。最初は綺麗にしてもらうから関係ないけどね。まぁ、とりあえずこの国を楽しんでみて』
『はぁ、分かった。とりあえずやってみるさ。お前は次に会う時までに、お前の異変をちゃんと調べておけよ。良いな』
『もちろん。じゃあ少しの間さよなら。ま、上手くいくと1歳で、遅くて2歳で、また話しができると思うよ。じゃあね』
フッと、バカ神の感覚が消えた気がした。
『ばぶぅ、しゃあ』
今のは、ちゃんと調べるんだろうな、って言ったんだ。だけど俺の新しい家族は、俺が喜んでいると思ったらしい。
『はは、色々な物が見えて楽しいだろう』
『これからあなたは、ここで生活するのよ』
『あたしはおねえちゃん!!』
うん、それは分かってるよ。
『さて、何を買って帰るか。ご飯は赤ん坊用のミルクで良いとして、他にはベッドに毛布だろう。タオルももう少し柔らかい物を用意した方が良いだろう』
『他には洋服も必要ね。可愛い洋服をたくさん用意しましょう。そうだわ! 毛布で思い出したけれど、あの子を買って行かない? あの子なら一緒にいると暖かいし、きっとこの子といい家族になれるわ』
『あの子?』
『ケニーシャも、私達も一緒のあの子よ』
『ああ、あの子か。確かにあの子がいれば、この子は楽しいだろう』
あの子? 誰のことだ? みんな一緒って言ってたけど。
『ねぇねぇ、パパ、ママ』
『何だケニーシャ?』
『あたしおねえちゃん。ケニーシャ。おとうと、おなまえなに?』
キュリスさん改お父さんと。シェリアーナさん改お母さんの動きが止まった。ついでに俺の動きも。そうだった。俺は生まれたばかりの赤ちゃん。最悪な家族には名前など付けてもらえるわけもなく、今の俺は名前がない状態だったよ。
『…‥そうだったな』
『……そうだったわね』
『……ばぶぅ』
そうだったよ、と言った俺。ここからは買い物に行く前に、俺の名前を決めることに。
そして考えること数十分。何個候補が上がったけど、なかなか名前は決まらずに、途中でケニーシャがまた何とも言えない。でもなんか聞きたくなる歌を歌い始め。それからまた少しして、ようやく俺の名前が決定した。
グレンヴィル。これが新しい世界での俺の名前だ。とっても素敵な名前だと思う。グレンヴィル。ふふふ、なんか良いな。
『……ふぅ、何とか決まったな』
『……ええ、決まったわね』
『……うぇ、ばぶぅ』
今のは、……うん、何とか決まった、って言ったんだ。
『さぁ、買い物に行こうか。はぁ、なんか疲れたな』
『何を言っているのよ。これからこの子のために、グレンヴィルのために、頑張らないと』
『分かってるって。でも私は考えるのはどうも苦手だ』
『国を管理している人が何ですか! ほら行くわよ。さぁ、ケニーシャも、もうお歌はやめて、しっかりママ達についてきて』
なんか今の、地球での夫婦とのやりとりと変わらないような?
こうしてやっと動き出した俺達。綺麗な木のトンネルの道を進んで行けば、だんだんと人通りが多くなってきて。本当にこの国の人達は、大きくて綺麗な人たちばかりだなぁ、と思っていると。今度はだんだんと建物が増えてきた。
『先ずは寝具類を買って、その後は洋服にするか。それとも洋服が先か』
『先に洋服にしましょう。私楽しみだったのよ。洋服を選んで、ミルクを買いに行って、そのあと寝具ね。そして最後はあの子を見に行きましょう』
また出てきたあの子。一体本当に誰なんだろう?
『あたしのルーちゃんのおともだち?』
『ええ、最初はあまり遊べないかもしれないけど、慣れればきっと良いお友達になれるわよ。それとお友達じゃなくて家族よ』
『みんなかぞく!! ふへへ、うれしいねぇ』
だから誰? そしてルーちゃんって?
『ばぶ?』
今のは、水? って言ったんだよ。思わず声に出たんだ。そりゃ声も出るだろう。周りが水だらけなんだから。何て言うのかな? 水のドームの中にいるみたいなんだ。まさか今いる場所は水の中? いやいやまさかね。
『おい、バカ神』
『だからバカじゃないって…。そうだよ、ここは海の中だよ。僕言ったでしょう。海に生きる者達だって。彼らはね海に中で暮らしているんだよ。今君が居る場所は、海の中の彼らの国。そしてこれから暮らす、君の国だ』
『海の国』
まさかのまさかだった。まさか海の中にこんな場所があるなんて。動かせるだけ目を動かして周りを確認する。水ドームに気を取られていた俺。俺達がいた場所は高い場所だったのか、街の様子がよく見えた。
バカ神は海の中だと言ったけど、そこには小説で読むような、ヨーロッパ風の建物が並んでいて、色は白や薄い青色が多く、人々もそうだったが、建物もとても綺麗だった。
そして海の中なのに、泳いでいる人々は全くおらず、普通に歩いている人達ばかりで。まぁ、このドームの中にいるんだから当たり前なんだが、海の中なら、ここは異世界だ。空中を泳ぐ魚がいたって良いと思うんだけど。
カバンを持って歩いている人達、俺の知らない生き物に乗って移動している人達、井戸端会議のように集まって、笑いながら話しをしている人達。道や広場のような所では、子供達が集まって遊んでいた。
不思議なことはそれだけではない。海の中なのに木も花も草も生えていて、緑で溢れていたんだ。花壇も綺麗に整えられていて、本当に素晴らしい景色だった。……まぁ、なんとも言えない花や草も生えていたけど。
これについては後でちょっと調べるか。まぁ、赤ん坊の俺には無理だろうから、誰かが教えてくれるかもしれないし。
と、今はそれは置いておいて。これが海の中? 本当に? バカ神が俺にイタズラで、そう言っているだけだとか?
『失礼だな、そんなことしないよ。あっ、そろそろ本当に話せなくなりそう。いい、ちゃんと教会に来てね。あと、ここの生活は君の今までの生活と基本は同じだから。食べ物も気にしなくて良いし、トイレとかも魔法が関係してるけど、あんまり変わらないよ。最初は綺麗にしてもらうから関係ないけどね。まぁ、とりあえずこの国を楽しんでみて』
『はぁ、分かった。とりあえずやってみるさ。お前は次に会う時までに、お前の異変をちゃんと調べておけよ。良いな』
『もちろん。じゃあ少しの間さよなら。ま、上手くいくと1歳で、遅くて2歳で、また話しができると思うよ。じゃあね』
フッと、バカ神の感覚が消えた気がした。
『ばぶぅ、しゃあ』
今のは、ちゃんと調べるんだろうな、って言ったんだ。だけど俺の新しい家族は、俺が喜んでいると思ったらしい。
『はは、色々な物が見えて楽しいだろう』
『これからあなたは、ここで生活するのよ』
『あたしはおねえちゃん!!』
うん、それは分かってるよ。
『さて、何を買って帰るか。ご飯は赤ん坊用のミルクで良いとして、他にはベッドに毛布だろう。タオルももう少し柔らかい物を用意した方が良いだろう』
『他には洋服も必要ね。可愛い洋服をたくさん用意しましょう。そうだわ! 毛布で思い出したけれど、あの子を買って行かない? あの子なら一緒にいると暖かいし、きっとこの子といい家族になれるわ』
『あの子?』
『ケニーシャも、私達も一緒のあの子よ』
『ああ、あの子か。確かにあの子がいれば、この子は楽しいだろう』
あの子? 誰のことだ? みんな一緒って言ってたけど。
『ねぇねぇ、パパ、ママ』
『何だケニーシャ?』
『あたしおねえちゃん。ケニーシャ。おとうと、おなまえなに?』
キュリスさん改お父さんと。シェリアーナさん改お母さんの動きが止まった。ついでに俺の動きも。そうだった。俺は生まれたばかりの赤ちゃん。最悪な家族には名前など付けてもらえるわけもなく、今の俺は名前がない状態だったよ。
『…‥そうだったな』
『……そうだったわね』
『……ばぶぅ』
そうだったよ、と言った俺。ここからは買い物に行く前に、俺の名前を決めることに。
そして考えること数十分。何個候補が上がったけど、なかなか名前は決まらずに、途中でケニーシャがまた何とも言えない。でもなんか聞きたくなる歌を歌い始め。それからまた少しして、ようやく俺の名前が決定した。
グレンヴィル。これが新しい世界での俺の名前だ。とっても素敵な名前だと思う。グレンヴィル。ふふふ、なんか良いな。
『……ふぅ、何とか決まったな』
『……ええ、決まったわね』
『……うぇ、ばぶぅ』
今のは、……うん、何とか決まった、って言ったんだ。
『さぁ、買い物に行こうか。はぁ、なんか疲れたな』
『何を言っているのよ。これからこの子のために、グレンヴィルのために、頑張らないと』
『分かってるって。でも私は考えるのはどうも苦手だ』
『国を管理している人が何ですか! ほら行くわよ。さぁ、ケニーシャも、もうお歌はやめて、しっかりママ達についてきて』
なんか今の、地球での夫婦とのやりとりと変わらないような?
こうしてやっと動き出した俺達。綺麗な木のトンネルの道を進んで行けば、だんだんと人通りが多くなってきて。本当にこの国の人達は、大きくて綺麗な人たちばかりだなぁ、と思っていると。今度はだんだんと建物が増えてきた。
『先ずは寝具類を買って、その後は洋服にするか。それとも洋服が先か』
『先に洋服にしましょう。私楽しみだったのよ。洋服を選んで、ミルクを買いに行って、そのあと寝具ね。そして最後はあの子を見に行きましょう』
また出てきたあの子。一体本当に誰なんだろう?
『あたしのルーちゃんのおともだち?』
『ええ、最初はあまり遊べないかもしれないけど、慣れればきっと良いお友達になれるわよ。それとお友達じゃなくて家族よ』
『みんなかぞく!! ふへへ、うれしいねぇ』
だから誰? そしてルーちゃんって?