虐げられた少女は、無償に愛される ~だけど少女は逃げ出したい!~

その言葉に全員がピタリと固まる。

「どういうこと?」

由和が早樹を睨みつける。だが、早樹は視線を感じているはずなのに、呑気に笑っている。そして、横たわっている千鶴の髪を撫でた。その手つき壊れ物に触れるようだった。

「君たちは本当に馬鹿だね。そのままの意味だよ。彼女は自分の意志で誘拐されたんだ」

千鶴が?

自分からあいつについていったのか?

「そんなわけっ」

「そんなわけないって言い切れる?あと、もう少し声量、落として。起きちゃうでしょ」

早樹は千鶴を見つめる。その目には哀れみ、悲しみ、同情、そして、優しさ・・・。

「なんで、あんたがそんな目で千鶴を・・・」

瀬和が眉間にしわを寄せながら、呟く。

「彼女と僕は少し似ているからね。だから、聞いたんだよ。どうするかは千鶴が決めなって。千鶴が戻るならそれでよし、このまま僕と一緒にいるでもよし。僕は千鶴の考えを尊重する・・・だが」

そう笑っている早樹は、不意に真剣な顔つきになる。

「今の千鶴ちゃんが君たちのところへいくのは、賛成できないね。何しろ、君たちは知らなすぎる」

「さっきから何が言いたい」

それは、俺たちが千鶴のことを何も知らないと言っているように聞こえて、顔をしかめてしまう。