虐げられた少女は、無償に愛される ~だけど少女は逃げ出したい!~

「ここにいるかもしれないんだよね?」

由和がドアに手をあてる。

「いなかったら、どうするの?」

「ちょっ、だから万能じゃないって言ったじゃん」

哉が心配そうにつぶやくと、瀬和はおろおろと、手を振る。

「瀬和がそこまで取り乱すなんて。千鶴が大事なんだね」

「そりゃ、友達だから」

由和が瀬和の顔を覗き込むと、瀬和は真剣な表情で言い切った。

「千鶴・・・」

・・・うん。

「いるよ。ここに」

三人がバッと俺の方へ視線を向ける。

「俺が言うんだから、間違いないでしょ」

ドアに手をあて、力いっぱいに押す。

そこには、青白い顔でベットに横たわっている千鶴と、眉をひそめる男がいた。

「千鶴っ!!」