虐げられた少女は、無償に愛される ~だけど少女は逃げ出したい!~

サラサラできれいな前髪に触れる。

「・・・あ」

結界が壊れる音がした。

まだ、一つ目の結界だと安心するもつかのま、二つ目の結界が壊れる音がする。

「・・・前言撤回。すぐに決めないといけなくなっちゃったよ」

結界は全部で十つ。

今、二つ壊されたから残り八つ。

「まあ、寝かしとくか」

こんなに気持ちよさそうに寝ている子を起こせるほど、クズになれてない。

まあ、誘拐した人間が何言ってんだって話だけど。

パリンっ。

三つ目の結界が壊された。

残り七つ。

「んー、僕って確実に殺されるよね」

この間に、この部屋の結界を強化するという手もあるけど、どうせ壊される。

でも、彼女の願いを叶えるために足搔くしかない。

それが彼女を攫った僕の責任だ。