虐げられた少女は、無償に愛される ~だけど少女は逃げ出したい!~

~サキside~

「やっと寝たか」

先ほどまで泣いていた千鶴は、規則正しく寝息を立てている。

だが、その顔色はよいとは言えないものだった。

「これは本当にいつまで、もつかな」

時間干渉系は命を削りやすい。

だからと言って、数十回程度ではここまで衰弱しないもの。

「まあ、家族にでも利用でもされたか」

お前も家族のことで苦労したんだろうな。

だからこそ、鬼頭たちに出逢って変わったんだろう。

少なからず、彼らのことを思って泣けるほどまでには。

「離れたくないよね」

優しい場所でずっといたいよね。

でも、彼らのことが大好きだもんね。

彼らのことを考えると離れるべきだってわかっちゃったよね。

わかる、なんて簡単には言えない。

でも、それでも。

「千鶴ちゃんは、幸せになるべきだよ」