~千鶴side~

「え~、もう場所バレたの?」

「そんな悠長にしている暇なんてないですよ!?」

「じゃあ、きみは部下を連れて避難していてね」

「あなたはどうするのです!?」

「この子を一人にするわけにはいかないからね」

聞こえてくる男の声は二つ。一つは黒いマントの人の声。もう一つは、知らない男の人の声。

「、、、どうしたんです?」

「あ、起きたみたい」

「じゃあ、移動しましょうよ!」

「んー、君はささっと部下を連れて逃げてよ」

「なんでですか!」

「千鶴ちゃん、って呼ばせてもらうけど。ここに今から結界を張ろうと思ってる。もし、今からでも鬼頭の元に戻りたかったら、別に自分で帰ってくれてもかまわないけど」

「いえ、そろそろ潮時だと思っていたんです」

「そう?なら、結界を張って彼らが諦めるまで粘るか、それとも千鶴ちゃんが彼らに”もう会わない”と言ってくれればいいんだけど」

私をチラッと見ては、ため息をつく。

「無理だよね。千鶴ちゃん、寝てな。鬼頭たちが来たら起こしてあげる」