虐げられた少女は、無償に愛される ~だけど少女は逃げ出したい!~

「てか、鬼頭は鬼の末裔だよ?知らなかったの?」

「え、」

 知らなかったです。

 今気づいたけど、悠華さんのこと全然知らないや。

「まあ、いいよ。じゃあ、早くいこうか。君の体力が持たなそうだし」

 本当に足に力が入らない。

 視界はずっとグラグラ揺れてる。

「おっと、いくか」

 私は黒いマントの男に抱きかかえられる。

 あ、このまま死んじゃうのかな。

 ―――死にたくない。

 悠華さんの笑顔が瞼の裏で再生される。

「千鶴ッ」

 あれ、なんか幻聴で悠華さんの声が聞こえる。

「あ、やべッ。行くよ」

そこで、私の意識はプツリと途絶えた。