虐げられた少女は、無償に愛される ~だけど少女は逃げ出したい!~

「殺しにきたつもりだったけど、うん。きみ、もう長くないでしょ」

 しかも先ので力を使い果たしたでしょ、とまで言ってくる。

 本当に嫌だな。

 そんなにわかりやすいの?

「顔が真っ青、そろそろ死んじゃうじゃないの?」

 顔に出てるんだ。時間を進み始めるとすぐばれてしまう。

「ねぇ、鬼頭に言ってないんでしょ?なんなら僕についてくる?」

 もともと、彼らのもとを離れるつもりではいたんだ。

 でも、悠華さんが微笑んでくれるから、瀬和や由和があなたをなでてくれたりするから、哉さんが妹のように可愛がってくれたから。

 だから、離れたくなくなった。

 離れない選択をすると、優しくしてくれた彼らを傷つける。

 だから、離れると決めた。

「ついていく。ねぇ、バレない?」

「バレないと思うよ。僕は結界が張れるからさすがの鬼頭も入れないし探せない」

 結界?

「僕は陰陽師(おんみょうじ)の末裔でさ。血が薄れていたっていうのに、先祖返りで僕だけが使えるんだよね」

 末裔とかいるんだ。