「千鶴?」

急に抱きしめ、頭を撫でたせいか悠華さんは目を見開いて固まっている。

「・・・今は、いますよ」

人は過去にとらわれやすい。

誰にだって、悲しい過去はあるだろう。

自分がそうだったように悠華さんも。

でも、『ずっと一緒にいる』なんて無責任なことを言って悠華さんを傷つけたくない。

「絶対とは言えませんが」

もし、最後は傷つけるかもしれない。

「私は、悠華さんのそばにいます」

孤独は寂しい。

だけど、孤独を知っている人は、そばにいてくれる人を大事にする。

だから、悠華さんは周りにいる哉さんや由和、瀬和を大切に思っている。

ならば、私も少しの間だけ悠華さんのそばにいる。

それが今、私ができること。


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