「それはっ」

言えるわけがなかった。

誰かに助けを求める方法なんて忘れてしまった。

「千鶴は、道具じゃないよ」

悠華さんは私に目を見つめて、きっぱりと言い放った。

「千鶴は、俺に愛されていたらいいんだよ」

『愛』

それは、どうしても手に入らないと諦めていたもの。

「だからね?俺を置いてどこにも行かないで」

悠華さんの眉間にしわが寄り、眉が下がる。

その顔は今にも泣きそうで、過去の自分と重なる。

『お母さん、お父さんに愛されたいッ」

小さい頃は、親に希望を持っていた。

いつかは、笑いかけてくれると。愛してくれると。

そんな昔の自分と重なってしまった。

だから、衝動的に動いてしまったのだ。

ギュッと泣きそうな悠華さんに抱きしめる。

そして、頭を優しく撫でる。