「お医者さん、今呼びますからね」

本当に、恵里はクソババアより親だと思える。

「あ、ありがとう」

「いえッ、これぐらいしかできませんので」

これぐらいしか、じゃないと思う。充分ほどのことをしてもらっている。

「今日も、未来を見たんですか?」

「まあ、ね」

本当に、クソジジイたちは金しか考えてないんだから。

あんなのを親だと思ったことがあった。

毎年、誕生日を祝ってくれたのは恵里だけだった。だけど、幼かった私は期待をしていた。

来年こそはきっと祝ってくれるとずっと願っていた。

けど、それは絶対に叶うことがない願い。

十六年間、生きてるけど恵里以外に祝ってもらったことがない。

「お医者さんが来ましたよ」

「ありがとう」

しにしても、恵里はすごいと思うし、医者もすぐに来れている時点ですごい。心臓の音とか、体をいっぱい触られて診断が終わった。

「落ち着いて聞いて下さいね?」

ああ、やっぱりか。そろそろだろうなとは思ってたけど案外、早かった。

「お嬢様の命は―――――――――」

ああ、やっぱり私の予想は当たるものだ。