「じゃあ、ここら辺を散歩しよっか?」

あの後、千鶴を車に乗せて街で買い物をした。

買い物といっても、千鶴が欲しいものがないと言い張って何も買わせてくれなかった。

由和が千鶴に似合いそうな着物を買って、それで買い物は終了してしまった。

せっかく、街に来たんだから散歩しようと誘ってみた。

「まぁ、いいですけど・・・」

顔をしかめて、嫌そうに了承してくれた。

「じゃあ、はい」

俺は、千鶴に手を差し出す。

「は?」

「だから、手をつなごうと思って」

そういうと、千鶴は眉間にしわを寄せて渋々手を重ねてくれた。

「ふふッ」

「何が面白いの?」

千鶴が意味が分からないと言いたげな顔で、首をかしげてくる。

「いや、嫌がりながら俺の手をつないでくれたことが面白かったから」

俺がニコッと笑うと千鶴がもう一度首をかしげて、俺をジッと見つめてくる。