「嫉妬?」

これが?

ただ、ズルいと思った。

千鶴の可愛い姿を初めに見ている瀬和が。

しかも、滅多に可愛いと言わない瀬和が可愛いっていうぐらいに可愛いんだ。

「まあ、千鶴はそれぐらい可愛いから・・・気を付けてね」

そう言って、由和と千鶴がいる方へ行ってしまう。

『気を付けてね』

瀬和が最後に言った言葉が頭に響く。

「確かにな」

千鶴は可愛い。

だけど、それと同時に彼女は儚い美しさを持っている。

触れたら消えてしまうそうな、そんなあやふやな存在。

繋ぎとめていたい。

「さてさて、行きますか」

俺は、由和と瀬和と話している千鶴の顔を見て、口の端が上がったのを感じだ。