目の前が歪む。

ああ、やっぱりそうなっちゃうよね。壁を伝いながら自分の部屋に戻る。

部屋に入って、ドアを閉める。閉めたとたん、足から力が抜ける。

「はぁー」

私は、ある能力がある。それは、時間を操ることだ。

だけど、それは言わないようにしてる。言ってしまえば、多分無事では済まない。

だから、クソジジイ(・・・・・)たちには予知能力ってことになっている。

私は、あのクソジジイとクソババアのことを親とは思ってない。

だから、『クソジジイ』、『クソババア』と呼んでいる。

「あっ、大丈夫ですかッ」

ああ、バレっちゃった。

私の能力は、クソジジイと乳母の恵里(えり)しか知らない。

だから、恵里はしょっちゅう部屋を見に来る。

私が倒れていたら布団に寝かしてくれていたり、医者を呼んでくれてたり。

しかも、医者を呼ぶお金は恵里の自腹なのだ。

だから、恵里には感謝しかない。