「由和、千鶴の支度は終わった・・・ッ」

瀬和が部屋に入ってきて私を見るなり固まって動かなくなった。

「あの・・・、瀬和?」

「あ・・・いや、着物似合ってる」

少し顔を赤くしいつもより小声で言う。

瀬和が顔を赤くするぐらいなのだ。

それぐらい由和の手がいいのだろう。

普通ならここまで可愛くないのに、あの瀬和が顔を赤らめている。

そのことが、由和の実力を物語っていた。

「悠華が、様子を見て来いって」

瀬和は当初の目的を思い出したのか、冷静に戻って伝言を離してくれた。

「ありがと。もう終わる」

そう。瀬和と由和にはタメで話している。

理由は簡単。

同い年だし由和に初めて会ったときに「敬語はやめて」と言われてしまった。

それからは、由和と瀬和はタメで話すようになった。

もちろん、結弦さんたちも「敬語、やめて」と言われてしまったが丁寧に断った。